目次
伊藤家の食卓
伊藤和也さんと伊藤景子さん夫婦のお話です。伊藤夫婦は結婚して3年経ちますが、お子さんはまだいません。和也さんはビル管理会社勤務で、景子さんはデイサービス(ホームヘルパー)の仕事をしています。
和也さんは口数も少なくまじめな性格で几帳面。一方景子さんは、積極的な行動派でテキパキ仕事をこなすタイプです。
そんなお二人が、伊藤家の夕飯の食卓では景子さんが一方的に仕事の話しや上司や同僚のグチをしゃべって、和也さんは、それを何とはなしに聴いての食事がいつもの食事風景です。
まあ、それでも3年も夫婦生活をしていれば、お互いの性格を知っている二人にとってはそれなりに楽しい食事でした。
そんなある日...。
妻のストレスの限界
独身時代に仕事をしていたときとは違って家のことをしながら、ホームヘルパーの仕事をしている景子さんは、仕事での責任や、家に帰ってもデーサービスの利用者さんのイベント行事の用意などまるで保育園の先生のように、家でも模造紙に絵を描いたり、小物を作ったりと多忙な毎日を送っていました。
だんだん景子さんもストレスが溜まってくるようになり、景子さんの仕事のグチもエスカレートしてくるようになりました。
そんな不満を、もともと口数の少ない和也さんが何も答えてくれないこと自体にも不満を覚えるようになっていました。
その後は夫婦関係も冷え込んでいきました。
妻がカウンセラーに相談
このままではいけないと思い、市の相談窓口に紹介してもらったカウンセラーのところに相談をしにきました。
そんな簡単な事で夫婦関係が改善するの?
その日の夕食、景子さんはカウンセラーのいうとおり和也さん約束してから、またいつものように仕事や上司のグチをしゃべりはじめました。
そして、デザートに自分の一番」好きなケーキを食べてから、食事の後片付けをし始めました。それから和也さんがリビングに場所を移してくつろいでいても、一切グチをしゃべらなかったのです。
すると次の日...早速効果があらわれたのです。
翌日、和也さんがいつものように帰宅すると、和也さんがもっていたものは...駅前のケーキ屋さんの袋が...。
そしてその中には景子さんが一番好きなケーキをが入っていたのです。
めでたし、めでたし!
それをきっかけに二人の間は急速に改善して、今では景子さんが「今日、仕事はどうだったの?」と和也さんの話を聴くことも多くなり、昔みたいに一方的にグチを言わなくなりました。
おわり