抗生物質(抗菌薬)が効きにくい薬剤耐性菌(AMR:Antimicrobial Resistance)問題に関心を持ってもらおうと厚生労働省は人気アニメ「機動戦士ガンダム」のイラストを活用した啓発ポスターを作成し配布を始めました。
主人公の名セリフ「アムロいきまぁーす!」にかけて「AMR」と組み合わせた「AMR対策いきまぁーす!」のキャッチコピーで啓発しています。
「アムロ」、「AMR」ちょっと苦しいですけれど...。
でも人間にとって、いやこの先の人類にとっても大事な問題なのです!
耐性菌を増やさないために「みんなにもできることがあるんだ」として手洗いなどで感染症の予防に努めることや、医師から抗菌薬を処方された場合、量や期間を守って正しく服用することを呼びかけています。
とまぁ、ここまではお役所的な内容ですが...。
目次
なぜ厚労省が薬剤耐性菌AMR問題の啓発をおこなっているか
WHO(世界保健機構)は、20世紀初頭に抗生物質が発明され、人類最大の感染症が克服されたかに見えたが、ここ何十年の間で抗生物質の効かない耐性のある細菌が生まれ、2013年には耐性菌による死者は世界で70万人、2050年にはこのまま行くと、1000万人に上ると推計しています。
2050年に自分は生きてないでしょうけど、何もしなければ人類の1000万人が耐性菌で死んでしまうと...。
1940年頃に抗生物質であるペニシリンが使われるようになって、現在まで100種類以上の抗生物質が誕生しています。
最初は効果があるのですが、次第に死なない菌が出てきているのです。
厚労省がこれを受けて、国内での爆発的な薬剤耐性菌AMRでの死者を食い止めようということですね。
世界でも日本人は薬好きで有名です。薬好きではなく薬漬けにされたのではないでしょうか。
もしこの耐性菌が爆発的増殖をしていったら、世界でも日本人はかなりヤバイ状態になることは想像に難くありません。
耐性菌が爆発的に増殖しはじめている
韓国で感染の広がったMERS(マーズ)コロナウィルスも感染すると死亡率40~50%前後。
日本でも院内感染で多剤耐性アシネトバクターが60人感染してその半数以上が死亡。
病院は抗生物質を大量に使用する場所でもあり、患者の免疫力は落ちやすく、このようなことがおきやすいのです。
日本ではとりわけ抗生物質が多量に使われてきました。いまだに風邪を引いて病院にいっても「とりあえず」抗生物質を出しておきましょうといわれているのではないでしょうか。
熱があるから解熱剤が欲しい、抗生物質を飲むと直ぐに風邪が治るからといって安易にお医者さんにお願いしていないだろうか。
お医者さんも薬をだせば儲かる、と思うのですが現代は事情が違うようです。昔は製薬会社と病院が共存共栄できたのですが、院外薬局ですと薬価差益(仕入れ価格と処方した時の価格の差益)がほとんどでない、つまり儲からないのです。
それでも院内薬局ですとまだ薬価差益はでますし、定期的に来る患者さんはとてもありがたい患者さんなのです。
そして抗生物質も大量に出され、耐性菌がもっと増殖していくという悪循環に陥っているのです。
日本の場合特に、国民皆保険でクスリ自体安く処方してもらえるので安易に抗生物質をもらうことができるのです。
これが将来耐性菌が蔓延したらぞっとしますでしょう?
スーパー耐性菌が危ない
実は他のクスリが効かなくなった場合に使う最後の切り札的な抗生物質があるのです。
「カルバペネム系」と呼ばれる抗生物質があるのです
ところが最近になって、そのクスリも効かない「カルバペネム耐性腸内細菌科細菌(CRE)」というスーパー耐性菌が発生しているのです。
「悪夢の耐性菌」と呼ばれるものは血液に入ると50%の確率で死亡するという調査結果が出ています。
国内でも1600件が感染例として確認されています。
じゃあ、そのスーパー耐性菌を上回る抗生物質作れば?
ここにも、製薬会社のそろばん勘定が働いています。つまり製薬会社が新しい抗生物質を開発するのに1000億円かかるそうです。
しかし、抗生物質は消費量がとても少なく、簡単にいえば最終的に利益にならないということなのです。
人類はうぬぼれてはいけない
いわゆるイタチのおいかけごっこと利益が出なければ動かないとう事と、何もしなければ耐性菌はますます増殖してしまう、人類のジレンマなのでしょう。
「人間は万能」「細菌やウィルスは下等」「バイキンは汚い」などど人類はうぬぼれてはいけないのです。
なんとなくだれもが気づいていると思いますが、たとえば日本人が誰でも気軽に使う殺虫剤。蚊でもハエでもゴキブリでも害虫をみつければ直ぐにプシューしていると思いますが(自分も虫系が嫌なので同じですが)、虫の共生菌が殺虫剤に耐性を持ち、宿主(この場合蚊やハエやゴキブリ)の死を防ごうと助け出すのです。
虫や細菌の繁殖スピードはものすごく早いので、薬剤の耐性ができるのです。ですのでそろばん勘定が合えばメーカーはどんどん開発ができます。
どうもこのあたりで本当に人類は事の重大さに気づかないと、将来は大変なことになりそうです。
腸内で耐性菌が増殖
誤用で使われている抗生物質がほとんど。「経口三世代セファロスポリン」系と呼ばれるメイアクトやフロモックスというクスリ。
そういえばこの前抜歯したときに、フロモックス飲みましたね。
このフロモックスは経口してもほとんど体内に吸収されず、腸内で耐性菌を増殖させてしまっているのです。
これは何を意味するのか。
将来免疫力が下がったときに感染症にかかるリスクが増えるということなのです。
でもお医者さんからこれはキチンと飲んでくださいといわれれば飲みますよね。
結局どうすればいいの?
私たちのからだを守っている免疫の機能は、自然免疫と獲得免疫があります。
自然免疫は外敵に対して最初の防衛ラインで獲得免疫は最終防衛ラインのような緊急部隊のようなものです。
自然免疫の重要なのひとつが「マクロファージ」と呼ばれる免疫細胞です。
マクロファージが活発に働くことも腸内フローラの活性化において大事なことです。
土壌菌の大活躍によってマクロファージ活性化するので、土壌菌を普段からどれだけ摂取しているか、それがマクロファージの免疫力の高さの差となって個人差がでるのです。
普段から土のついた野菜や果物を摂取したり、土と触れ合う生活しているか。つまり土にはたくさんの土壌菌がいるのです。
結局腸内細菌を元気にしておくことが、一番の免疫となりイタチのおいかけごっこで抗生物質を開発しても、いつかはどこかで開発が破綻するのではないでしょうか。
腸内細菌は善玉菌だけがいればいいのではなく、大きく分けて「善玉菌」「悪玉菌」「日和見菌」のバランスの中で健康な腸となり免疫システムが作られるのです。
腸内細菌の免疫機能が本当に破綻してしまったらそのときは、
人類の革新ニュータイプが必要だ!「アムロいきまぁーす!」